2010年9月17日金曜日

道北探検記(1) 下サロベツ原野編

下サロベツ原野と利尻岳 (幌延ビジターセンターにて撮影.10.09.08)

今月,6日から10日までの5日間かけて道北へ一人旅兼サンプリング
しに行ってきました.
今回はその様子をご紹介します.
日程は次の通りです.

6日 移動(函館→札幌)

7日 移動(札幌→名寄→中川郡中川町)
   キャンプ

8日 移動(中川郡中川町→下サロベツ原野),
   サンプリング
   移動(下サロベツ原野→豊富町兜沼)
   キャンプ

9日 移動(豊富町兜沼→宗谷岬→上サロベツ原野→名寄→札幌)

10日 移動(札幌→函館)

こんな感じでした.
7日に中川町でキャンプすることになったのはイレギュラーでしたが,
おおよそ当初の予定通りとなりました.

今回の道北探検記第1回では,8日にサンプリング目的で行った
下サロベツ原野についてご紹介します.

サロベツ原野は,日本最北の国立公園である「利尻礼文サロベツ国立公園」の
一区域に指定されており,またラムサール条約に登録されている
日本で2番目に広い湿原である.
詳しくは下記URL参照のこと.
下サロベツ原野は,サロベツを南北に分けたときに幌延町に区分される地区をいう.


下サロベツ原野の中心を横断する道道972号線沿いに
環境省所管の幌延ビジターセンターがあり,そこから
パンケ沼にかけて約3kmの木道が整備されている.
そこを今回サンプリングした訳である(data→walk7, road1).

木道はこんな感じである.

下サロベツ原野自然探勝路と長沼 (10.09.08)

そして,木道で出逢った動物たち.

ハネナガキリギリスGampsocleis ussuriensis (下サロベツ自然探勝路にて撮影.10.09.08)

日本に生息するキリギリス属Gampsocleis4種のうちの一つ.
本州以南に生息するキリギリスとは微妙に外見が異なり,
全身が全体的により緑色.
同じキリギリス亜科でヒメギスMetrioptera engelhardtiという種も北海道に生息しているが,
それは全身が黒褐色で容易に見分けがつく.
また,似たような外見で同亜科のヤブキリTettigonia orientalisという種もいるが,
それは頭部から背部にかけての模様で見分けがつく.

トンボ科アカネ属の一種 (同場所にて撮影.10.09.08)

「赤とんぼ=アキアカネ」だと思っていたら,実は日本で見られる
赤とんぼの類って21種類もいるのね...(驚)
面倒なので種同定は却下(笑)

コモチカネヘビLacerta vivipara (同場所にて撮影.10.09.08)

北海道に生息しているトカゲは実は意外にも少なく,
ニホントカゲ,ニホンカナヘビ,コモチカナヘビの3種しかいないんです.
その中でも特殊なのがコモチカナヘビで,生息地域は道北の稚内周辺限定で,
その名の通り子を産む“卵胎生”なのです.
...ね,特殊でしょ?
そんな特殊なトカゲに出逢えた私は超ラッキーだー!
...その日だけで7匹も見たけど(笑)
まあ,個体数がそれだけ多いということなんでしょう.

ガンの一種 (同場所にて撮影.10.09.08)

首がやや長いのでガンの類いかと思われるが,この写真からだけじゃ同定不能.
専門家が見たら一発で分かるのかもしれないけど,私じゃ無理だ(笑)
ただ,Wikipedia先生によるとサロベツ原野で見られるマガン属は
オオヒシクイとあるので,それの可能性がある.

今回木道を往復で6km歩いたわけだが,やはり国立公園というだけあって,
その生物相の豊かさに驚かされた.
上で紹介した写真の他にも,様々な昆虫や鳥類が見られた.
鳥類はどれも動きが速く,また警戒心が強いので,
なかなか写真に収めることが出来なかった(^_^;)
ただ一方で,おそらくサロベツ原野で今最も問題になっているササ群落の拡大が,
木道を歩いていても顕著に見られた.
木道の両サイドをササ藪が覆っている場面もごく普通に見られた.
やはりササ群落地帯では哺乳類相・鳥類相・昆虫相は貧弱であるように感じる.
そういう意味では,サロベツに生息する動物にとってもササ群落の拡大は
由々しき事態である.

最後に,木道終点で撮った写真を載せておく.

パンケ沼と利尻岳 (10.09.08)